今回の記事では、フランス語の命令法の解説をしていきたいと思います。
ちなみに命令の言い方について、基礎的な部分は別の記事で書きました。
上の記事では、とりあえず命令文ってどうやって作るの?という単純な疑問を解決する形で、初心者でも理解しておくべき知識と、否定の仕方や丁寧な言い方の表現についてまとめました。
こちらの記事では、さらに
- 不規則な形が出てくるもの
- 例外の用法
などを解説しています!
少し発展的な内容ということですが、初心者の人が命令文を学ぶときに、ここまで一気に頭に入れるのはしんどいだろうなという内容を追加した感じです。
ですので、難しく考える必要はないので安心して勉強していきましょう!
フランス語はルールが厳密に決められていますが、例外ありきのルールです。
それではさっそく見ていきましょう!
不規則な活用をする動詞
まずは命令法のときに、「直説法現在」の活用とは全く異なる活用をする動詞を挙げたいと思います。
【基礎編】の記事では、使用頻度が高いのでavoirとêtreの活用を紹介しました!
ここでは以下の2つを学びましょう!
- savoir
- vouloir
savoir
savoirの命令形はだいたい決まった使い方があります。
それは、後ろにque説がきて使います。
- 「〜〜を知っておけ」
- 「〜〜を知っておいてください」
という使い方があります。
また、お願いの場合としては
- 「〜〜という点をご承知おきください」
というニュアンスで用いられることが多いです。
まずは活用から覚えましょう。
【savoirの命令法】
- tu sais → Sache.
- nous savons → Sachons.
- vous savez → Sachez.
(例)Sachez que c’est très bizarre. これが変なことだって知っといて。
vouloir
こちらもsavoirと同じように、決まった使い方があります。
この動詞は基本的にvousパターンで使うことがほとんどです。念のため活用をまずは確認しましょう。
【vouloirの活用】
- tu veux → Veuille.
- nous voulons → Veuillons.
- vous voulez → Veuillez.
とにかくこの中でも「Veuillez」という単語をみて、これはvouloirの命令法だ!と気づけることがまずは重要です。
「〜〜を望んでください」というのはちょっと無謀なので、「〜〜したいと思ってください」から転じて、
「よろしければ〜〜お願いします」
という感じで使われます!
(例)Veuillez vous asseoir. どうぞお座りください。
代名詞をともなう命令文
基礎編では代名詞をともなう命令文については扱いませんでした。
このような代名詞のない文の時は、そのままの語順で主語をとって、動詞を命令法にすれば良いだけでした。
Nous parlons français. → Parlons français.
しかしこれが代名詞をともなう場合、注意点がいくつかあります。
先にイメージを持っていただくために具体例を見てもらって、あとで個別的な説明に入ろうと思います。まずは目的語が代名詞の文をみてもらいましょう!
例1
(例)Tu me regardes. あなたは私を見る。
これを基本通りに命令文にしようと思って主語をとったら、文頭に代名詞がきてしまいます。でも命令文は動詞で始めたいので、後ろに行ってもらいましょう。
Regarde-moi ! 私を見て!
こんな文になるんです!
「え、なに!ややこしく文を倒置させるときもハイフン出てきたし、このハイフンの登場は嫌な予感だ!」という印象をもたらしますよね。あとでじっくり見ましょう。
こんなのが3パターンある
このように代名詞が動詞の前に入ることによって、基本通りには命令文を作れないようなパターンが3つあります!ここでさっと3点だけ確認です。
- 目的語が人称代名詞パターン
- 目的語が中性代名詞パターン
- 目的語が再帰代名詞パターン
もうなんか字を見るだけで嫌な予感がしますね。でも大丈夫です。
目的語が人称代名詞
一つ目は先ほど挙げたように、人称代名詞が目的語にくるやつです。目的語に「わたしを」「彼を」などの人称代名詞がきたときは注意しましょう!
直接目的語になる代名詞は全部で1人称、2人称、3人称それぞれ単数、複数で6つありますね。me、te、nous、vous、le、la、les です。
【注意すべき目的語になる人称代名詞】
me・te・nous・vous・le・la・les の6つ!
これら目的語が動詞の前にきていたら、目的語を動詞の後ろにもっていき、動詞と目的語の間をハイフン(-)でつなぐ、これだけです!
そしてここでもまた例外があります。例外は基本的に使用頻度が高いものに生じることが多いですから、ここではmeとteです。
【目的語の形が例外になる時】
me → moi te → toi
この2点をしっかり押さえておけば問題ありません!
Tu me regardes.という文を例にとって、「わたしを見て!」という命令文にするまでの過程を一緒に考えていきましょう。
【Tu me regardes.】
- 主語を取って動詞を命令法に→ Me regarde
- 目的語を後ろに持っていき、動詞とハイフンでつなぐ→ Regarde-me
- me は moi に形を変える→ Regarde-moi.
これでもう目的語が人称代名詞になるパターンは完璧ですね!
否定の仕方
このパターンの命令文を否定形にするとき、また一旦さきほどの規則を忘れなくてはなりません。目的語の場所はそのままです。
作り方は否定文のままの文型で、主語を取ればいいだけです。
【Tu me regarde.】
- 否定形にする→ Tu ne me regardes pas.
- 主語をとる→ Ne me regarde pas.
これで人称代名詞に関する命令文の作り方は以上です。
目的語が中性代名詞
二つ目は、中性代名詞が目的語にくるパターンです。
この記事で中性代名詞の説明をしていたら量が大変なことになりそうなので、ここでは使い方のみを示したいと思います!
まず、中性代名詞は全部で3つありますね。le、en、y の3つです。
簡単に言うとこれもさきほどの人称代名詞に似ています。動詞のあとに持ってきて、ハイフンでつなぎます。
否定形の作り方もさきほどと同じです!
ここでは例を示しておきましょう。
【命令形にするとき】
(例)Tu y vas. → Vas-y.
【さらに否定形にするとき】
(例)Tu y vas. → Ne y vas pas.
例外!
ここでもやっぱり例外が生じます。
先ほどの Tu y vas. が Vas-y. という命令形になったときに、なにか疑問は感じなかったでしょうか?
他にも例を挙げると、Donne-moi ! だけど Donnes-en ! となります。
気づくことはありましたか?このときvasやdonnesのsがついたままになっていますよね。
つまり、enとyが動詞のあとにきてtuパターンの命令形になるとき、いつもとっていた動詞の末尾のsをつけたままにするんです!
そして音が濁って発音します。
Vas-y.はヴァイーではなく、ヴァジーです。覚えておきましょう!
目的語が再帰代名詞
三つ目は目的語が再帰代名詞になるパターンです。
再帰代名詞とは、再帰動詞の目的語のことです!
例えば、「思い出す・覚えている」という意味のse rappeler という動詞などが再帰動詞にあたります。
これの考え方は、se rappler の se が人称代名詞的なものだと考えて文を作れば問題なく作れます。例も3つ目になり、フランス語の規則が分かってきたら、だいたいの人はこのときの文の構造が予想つきますか〜?
ここでは、dépêcher という動詞を例に考えてみましょう。
この動詞の意味は「人を急いで送る」という意味があります。
これの再帰動詞はse dépêcherとなり、自分を急いで送る、つまり急ぐという意味になります。
- Tu te dépêches. あなたは急ぐ。
- Dépêche-toi ! 急いで!
- Ne te dépêche pas. 急がないで。
以上が代名詞をともなう命令文の説明でした〜!
文の後ろにetとouがきたら
さ〜て命令文の応用編もこの説明でラストです。
最後に紹介しますが、これも重要事項です。知らなかったらどうにもならないやつです。
英語でも同じような使い方があるので、すぐにピンとくる方もいると思いますが、
- 命令文+ et で、〜〜しなさい。そうすれば〜〜
- 命令文+ ou で、〜〜しなさい。さもなければ〜〜
という意味になります。
長かったかもしれませんが、以上がフランス語の命令文の説明です!
こんなもの、普通の薄い文法書ではテキトーにしか書かれていないですし、詳しい文法書にはガツガツ文字ばっかりで読む気もしないですからね。
これでみなさんのフランス語の勉強の役に立てたら幸いです!引き続き頑張っていきましょう!