今回の記事では、フランス語の時制の「前未来形の意味と用法」について解説していきたいと思います。
- 前未来って他の未来時制と何が違うの?
- 活用を覚えるのがムズカシソウ
- 用法を例文と一緒に学びたいな〜
②:どんな時に使う文法なのか
③:活用などを具体例とともに解説
この記事の構成はこんな感じです。これを読めば、もう今までよりも表現の幅がグッと大きく広がっているはずです。
それでは、さっそく見ていきましょう!
前未来の時制とは
それでは、まずフランス語の文法における「未来時制」の確認をしておきましょう。
この2つしかない
どうもムズカシイような印象がある時制ですが、フランス語での未来時制は、以下の2つしかありません。
- 単純未来
- 前未来
そして、1つ目の「単純未来」というのは、いわゆる普通の未来形です。
英語で言う「will」の表現ことですが、フランス語ではこれに該当する助動詞はありません。ですので、動詞の語尾を活用させて、未来時制であることを示します。
とにかくここでは、シンプルに未来のことを言いたい時、「単純未来の時制を使う」と覚えておくと大丈夫です。
もしここで、
- 前未来よりも単純未来を先に理解したい
- 単純未来形の作り方や活用方法がわからない
という方は、先にこちらのページを読まれることをオススメします!
注意点
もしかしたら、ここで勉強熱心な方は、「あれ? 近接未来の表現は?」と思われる方もおられるかもしれません。
いわゆる、aller + 動詞の不定形 のやつです。
ところが、今回の記事では「時制」にフォーカスを当てているので、ここでは区別しないことにしました。
この近接未来の表現は、時制は「現在」ですが、未来について言いたい時に使えるものです。
ですが、「近接未来」は簡単にいうとイディオムのようなものなので、aller の特殊用法とでも理解しておくと分かりやすいかと思います!
単純未来と前未来の違い
それではいよいよ、未来時制の概要がわかってきたところで「前未来」に迫っていきましょう!
ズバリ、2つしかないという未来時制ですが、違いは以下のようになります。
-
単純未来:視点が「今」
-
前未来:視点が「未来」
つまり、
単純未来では、「今の視点から見て、未来はこうなっているでしょう」と話すものですが、
前未来では、「未来のあの地点では、こうなっているでしょう」と話すものです。
例文を見ましょう!
単純未来【視点:今】Demain, je partirai avant 7 heures.
訳)わたしは、明日7時より前に出発する予定です。
前未来【視点:未来】Demain, je serais parti avant 7 heures.
訳)わたしは、明日7時より前には出発し(てしまっ/終え)ているでしょう。
少しややこしいですが、二つ目の文では、視点が「7時」という未来にある、と考えれば良いです!
用法は、
です!
英語の未来完了の時制と同じで、「〜しているだろう、〜してしまっているだろう」、などと訳すことができます。
もう少しだけわかりやすく
一応ここまでが、前未来の文法解説になります!
ここからは、今までの説明でも少しモヤモヤが残った人へ向けて、より具体的な解説をしていきたいと思います。
ですので、ここまで読んで理解された方は、続いて次の勉強に進んでいただいても大丈夫です。
日常に隠れる「前未来」
では、ここでもう少し前未来の具体例を挙げていこうと思います。
なぜなら、「使うシチュエーションを想像できる」ということは、時制を学ぶ上でものすごく大切だからです!
「前未来」は、確かに「単純未来」や「近接未来」に比べると、初級学習者のうちはなかなか頻度の高くない文法と言えるかもしれません。しかし、だからと言って決して「後回しにしてもいい時制」ではないし、ましてや「覚えなくていい時制」ではありません。
使いこなすようになるのは、まだまだ先かもしれませんが…。
例えば、以下のような会話は、日常生活でもたびたび訪れないでしょうか。
- いい(マンションの)部屋が見つかったら、引っ越しをする予定です!
- 待ち合わせ場所に着いたら連絡して!
- 来年にはドイツ語の勉強も始めときたい…!
意外とこういうシチュエーションには遭遇すると思います。
そして、これらはそれぞれ、青字の時点を基準にして、それよりも前に の部分を完了させておきたいということです。
ここからは、蛇足です。
一昔前に、こんな会話がわたしの周りでよくありました。(個人的体験なので一般的に「よくあった会話」なのかは不明です)
「少なくとも30歳までには子供がほしい、、、」
という発言をした人に対して、
「じゃあ、28歳ぐらいまでには結婚しておきたいね。」
と、別の人物がすかさず未来の想定を話してくれます。そして、その話はどんどんと進み、
「ん〜ということは、結婚の前には一年ぐらい同棲しときたいから、そうなると27歳からは一緒に住んどかないと。」
「いや、でも付き合っていきなり同棲ってどうなのって感じだから、26歳では交際スタートさせといて、、、」
と、こういった具合に想定は進んでいき、挙句には、
「え?そうなったら30までに子供欲しいなら、今もう結婚相手と出会っておかないとマズくない?」
的な感じで終わります。
(28歳の時に、あなたは結婚相手を見つけているでしょう。)
少し理解が深まったでしょうか? あるいは「オマエ最後に何の話してんねん!」となってさらに混乱したでしょうか?
個人的な「前未来」的状況
先ほどは、卑近な例を失礼しました。
名誉挽回と言っては何ですが、ここではもう少しだけマシな「前未来」的状況の話をしたいと思います。
わたしは、読書家の人の本棚こそが、一番「前未来」の時制を表すのに適しているのではないか、と思っているのです!
わたし自身、「今はモノをあまり持たない主義」で生きていますが、昔は、それなりに本棚にはたくさん本を置いていました。例えば、以下のような本の置き方をしていました。
- とりあえず安部公房の本を見つけ次第買って並べる
- ミシェル・フーコー全集買う
- 太宰治全集買う
- フランス哲学に関する本で一画を埋め尽くす
- 岩波文庫だけの棚を作る
まぁ、例を挙げるとこんな感じです。
でも、正直な話こういう本棚って、たぶん視点が完全に「今」じゃないんですよね。
完全に背伸びをした本棚になっていて、今の自分の実力では到底及ばないような書物もたくさんありました。
どういうことかというと、
- 数年後は、こういう本を読める自分になっておきたい、という気持ちだったり、
- これを読み終えている頃には、かなり賢くなっているはずだ、という気持ちだったり、
- あの試験に合格したら、こういう本もスラスラ読めるのかな、という気持ちだったり、、、
本棚を見ている時、わたしの視点は「未来」にありました。そして、その多くが「これらの本を読み終えた時」にあるような気がしています。
Lorsque j’aurai fini de lire ces livres, je serai plus sage.
という気持ちですね。
皆さんは、自分の本棚を眺めてどんな文章を思いつきますか?
視点は「今」と「未来」のどちらにあるでしょうか?
この視点の違いによって、単純未来を使うか、前未来を使うかが決まってきそうです。
avoir / être の単純未来 + 過去分詞
ということで最後に、活用の確認だけさらっとしておきます。
イマサラ過去分詞の作り方を解説するほどではないと思うので、とりあえず、
用法は、
であることを覚えておきましょう!
avoirの単純未来
j’aurai
tu auras
il aura
nous aurons
vous aurez
ils auront
êtreの単純未来
je serai
tu seras
il sera
nous serons
vous serez
ils seront
まとめ
いかがだったでしょうか。以上が、時制「前未来」の解説になります!
ポイントは、以下の通りです。
未来時制は、「単純未来」と「前未来」しかない
【単純未来と前未来の区分】
-
単純未来:視点が「今」
-
前未来:視点が「未来」
【用法】
- avoir / être の単純未来 + 過去分詞
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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