【フランスの教育制度】難しすぎるバカロレアの哲学から見る高校卒業資格とは

今回は、「フランスのバカロレアの哲学の問題が難しすぎる!」という内容で記事を書いていきたいと思います。

人間
  • フランスの教育制度にも関心がある
  • フランスの高校生が大学に入るにはどんな試験が必要?
  • ズバリどんな問題が出るのか教えて!
 
こんな疑問を解決した記事になっています。
フランスの教育を始めとする「文化」を知ることが、フランス語を身につける上で意外と重要だったりもします。
①:バカロレアとは
②:過去2年の哲学の問題を紹介
③:筆者の雑談

この記事の構成はこんな感じです。これを読めば、フランスの教育制度についてちょっとは詳しくなるかもしれません。

それでは、さっそく見ていきましょう!
 

バカロレアとは?

まずは、バカロレアについての解説です。

バカロレアとは簡単に言うと「高校卒業証明書」のようなものです。

口語では略して「BAC(バック)」と呼ばれることが多いです。

中等教育を終えて、高等教育に入る前に必須の試験ということですね。

余談ですが、「高校卒業資格」というわけですから、受験生の多くは高校を卒業する年齢の18歳です。しかし、年齢制限はないため、史上最年少は11歳で受験している人もいるらしいです。

話を戻して、試験は7日間にわたって行われ、フランスでは6月に全土で一斉に行われます。

  • 1日目:「哲学」
  • 2日目:「歴史・地理」
  • 3日目:「第一外国語」

という感じで受験することになります。

大学に入学するためには?

逆に言うと、フランスでは「グランゼコール」などの政治家や官僚を輩出する学校を除いては、この「バカロレア」があれば大学(université)に入学することができます

なので、よく日本の「センター試験」と比較されたりもするわけですね。

日本では、「文系」「理系」という区分ですが、フランスでは以下の3つに区分します。

  • 文学部門 Baccalauréat littéraire
  • 経済社会学部門 Baccalauréat économique et social
  • 科学部門 Baccalauréat scientifique

この区分から選んで、必要な科目を受験します。

そしてこの資格がとれたら、好きな大学に入れるということです。

どんな問題が出る?

バカロレアの哲学

それではいよいよ気になる、どんな問題がでるのかについてです。

私自身が大学の専門が「17世紀のフランス哲学」ということもありますが、

バカロレアの目玉はやはり「哲学」だと言えるでしょう。
受験初日の一発目、受験者全員が必須の「哲学」です。
文学系の場合は、外国語や地理歴史をおいて、「哲学」が1番配点が高くなります。

2019年度の「哲学」の問題

それでは、実際の問題です。

選択できるものが3つあります。ここから1問選んで、論述形式で4時間かけて解きます。

文学部門 Baccalauréat littéraire

  1. Est-il possible d’échapper au temps ?
    時間から逃れることはありえるか、可能か
  2. À quoi bon expliquer une œuvre d’art ?
    芸術作品を説明することが何の役に立つのか
  3. Expliquer une texte suivant:ヘーゲルの一節
    以下の文の解釈をしなさい

経済社会学部門 Baccalauréat économique et social

  1. La morale est-elle la meilleure des politiques ?
    道徳はもっともよい政策なのか
  2. Le travail divise-t-il les hommes ?
    労働は人々を分断するのか
  3. Expliquer une texte suivant:デカルトの一節
    以下の文の解釈をしなさい

科学部門 Baccalauréat scientifique

  1. La pluralité des cultures fait-elle obstacle à l’unité du genre humain ?
    文化の多様性は、人類統合の障壁になるか
  2. Reconnaître ses devoirs, est-ce renoncer à sa liberté ?
    義務を承認することは、自由を放棄することになるか
  3. Expliquer une texte suivant:フロイトの一節
    以下の文の解釈をしなさい

以上が、試験内容です。

筆者の雑談

違いがすごい

ありふれた比較ですが、やはり同年代の日本人学生が受ける試験といえば、いわゆる「センター試験」ですよね。

回答用紙だけ見ても、「求められている能力」の違いを感じます。

【日本の場合】

【フランスの場合】

どちらが良いとか悪いとかそういうことではないです。

求められている能力に大きな違いがあり、これだけ切り取っても、やはり教育がもたらす「国民性」にまで影響がでるような気がします。

【日本の試験で求められていること】

  • 一つしかない正解にすばやくたどりつく
  • 記憶力と効率性

【求められていないこと】

  • 根本的な理解
  • 自分なりの分析

こんな感じでしょうか。

逆に言えば、フランスの試験で求められていることは、この逆です。

あとは、自分が出す答えに対して説得力のある論理で示す能力ですかね。

思考力

このようにフランスでは、「思考力」こそが学問をする上で重要なことになっています。

さらに、自分の意見を論理立てて説明する能力が学生の頃から徹底的に鍛えられているということですね。

これじゃ国際的な話し合いでは、日本人がなかなか活躍できないということが明らかですよね。

どちらが良いか悪いかではなく、このような教育制度も参考に、日々の学習をしていくことは重要です。

語学においても、DELFの口頭試験で求められていることはこういうことですよね!

ライオン
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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