今回の記事は、フランス語の「代名動詞」について文法的に解説していきたいと思います!
- 代名動詞ってどんなものかさっぱり分からない
- なんとなく分かるけど例文と一緒に勉強したい
- どんな用法があるか分かりやすく教えて!
②:目的語となる再帰代名詞を解説
③:4つの用法を整理して解説
この記事の構成はこんな感じです。これを読めば、知識がだいぶ整理されているはずですよ!
代名動詞とは
それではまず、代名動詞がどんなものなのかイメージをつかんでもらいましょう。
ズバリ結論を先に言うと、
代名動詞
→ 再帰代名詞 + 動詞
こういうことなんです。これを今から解説していきます!
まずは、例を挙げるのが手っ取り早いと思いますので見てください。フランス語学習で「代名動詞」のところを勉強している人なら、だれもが口にしたことがある文です。
代名動詞(s’appeler)
→ 再帰代名詞(s’) + 動詞(appler)
少しイメージが持てたでしょうか。
主語=目的語
では、ここでさらに気になるのが「再帰代名詞ってなに?」という部分ですね。
再帰代名詞の文字をよく見ましょう。
そう、目的語となる代名詞が再び主語を指しているんです。
こちらの話も再び、Je m’appelle 〜. に帰りましょう。
Je m’appelle 〜は、直訳すると「わたしはわたしを〜と呼ぶ。」という使われ方をしており、これで「わたしの名前は〜です。」と訳します。
このように主語と目的語が同じ場合、再帰代名詞を使います。
英語の場合
再帰代名詞というものは英語にはないので、英語で当てはめて理解するのは難しいです。
しかし英語でも、主語と目的語が同じ場合は、ちょっと異なる使い方をしますよね。
- わたしはわたしが好き。(主語と目的語が同じものを指す)
- わたしはあなたが好き。(主語と目的語が別のものを指す)
この場合を考えましょう。
「わたしはあなたが好き」の場合は、I love you. ですね。
でも、「わたしはわたしが好きの」の場合は、I love myself. です。
代名動詞の例
ここまでの説明で、なんとなーくは理解できたでしょうか。
さらに例をいくつか見ることで、よりはっきりしたイメージを持ちましょう!
動詞:coucher(寝かせる) 代名動詞:se cousher(寝る)
- Je couche mon bébé. わたしは赤ちゃんを寝かせる。
- Je te couche. わたしはあなたを寝かせる。
- Je me couche. わたしは、わたしを寝かせる。→わたしは寝る。
こんな感じですね。
動詞:dépêcher(急がせる) 代名動詞:se dépêcher(急ぐ)
- Je me dépêche. わたしはわたしを急がせる。→わたしは急ぐ。
動詞:lever(立たせる) 代名動詞:se lever(立つ)
- Je me lève.わたしはわたしを立たせる。→わたしは立つ。
日本語訳するのが難しいときもあるかもしれません。
その場合は、「わたしはわたしを〜。」で理解してみてから、自然な日本語に訳しましょう!
再帰代名詞について
ここまでの説明で「再帰代名詞」についてある程度は理解できたとは思いますが、もう少し詳しい説明をしておきましょう!
辞書で調べるとき
まず、再帰代名詞を用いた代名動詞について辞書で調べるときの確認をします!
例として、「s’appelerを調べたい」としましょう。
そうすると「代名動詞」の用法が載っており、s’appelerの意味を確認することができます。
原形と活用形
辞書で調べる方法も確認しましたが、この代名動詞は s’appeler という形で辞書に載っています。
- そして再帰代名詞の「se」の部分は、主語によって形を変えていくわけですね。
- もちろん動詞の部分も主語に合わせて活用します。
「直接法現在」のs’appelerの活用を確認しておきましょう。
- Je m’appelle
- Tu t’appelles
- Il s’appelle
- Nous nous appelons
- Vous vous appelez
- Ils s’appellent
つまり再帰代名詞となるのは、
これで、主語にあわせて再帰代名詞がどのように変化するのかが理解できましたね!
se と le,la
ここで1つだけはじめて見る単語がありますよね。se です。
他の「me(m’) te(t’) nous vous」は、直接目的語や間接目的語として、すでに勉強している人が多いとおもいます。
ちなみに以下の図は、二重目的語のときの語順に関するこちらの記事でまとめたものです。
これを見ても分かる通り、代名詞の中でもやはり「se」だけが今回、再帰代名詞として初登場していますよね。
なのでここだけ解説しておこうと思います。
- Je me couche. わたしは自分を寝かせる。→わたしは寝る。
- Je le couche. わたしは彼を寝かせる。
この2つの文ついては、何度も説明しているので大丈夫ですよね。
上の文は代名動詞を使った文ですが、下はそうではありません。
では以下の2つはどうでしょう。
- Il le couche. 彼は彼を寝かせる。
- Il se couche. 彼は自分を寝かせる。→彼は寝る。
これは、下の文が代名動詞を使った文になります。
上の文は、「父親が息子を寝かしている」ような場面です。つまり、主語と目的語が別人ということですね。
「me(m’) te(t’) nous vous」の場合は、一般的な目的語の代名詞としても、再帰代名詞としても使えます。でも、「se」は再帰代名詞としてだけです。
Je me couche. の場合は、「me=わたし」という一人しかありえません。
しかし、三人称の場合は可能性が一人ではないため、目的語が「自分」であることを区別できるように、再帰代名詞の場合は「se」を使います。
これで理解はだいぶ深まってきましたね!
代名動詞の用法
それでは最後に、代名動詞の用法を頭に入れておきましょう!
以下の4つのパターンがあります。区分して覚える必要はないですが、訳すときに役立つので知っておくと便利です。
- 「自分に〜する」
- 「互いに〜する」
- 「〜される」
- 熟語として使う
これを確認したら完璧です!
自分に〜する
まずは、「自分に〜する」という使い方ですね。
今まで例で使ってきた、Je me couche. なんかもこれにあたります。
- Je m’appelle 〜
- Je me lève 〜
- Je me dépêche 〜
これらも同様です。フランス語の学習初期で登場するものは、このパターンが多いように思います。
互いに〜する
2つ目のパターンは、「互いに〜する」というものです。
- Ils se regardent. 彼らは互いに見つめ合う。
- On se voit demain. 明日会いましょう。
このように、相互的なものを表すときに使います。なので、このパターンのときは「主語は必ず複数形」が当てはまります。
〜される
3つ目のパターンは、「〜される」という受け身のように訳されるものです。
- Le français se parle en France. フランス語はフランスで話されている。
- L’histoire se répète. 歴史は繰り返される。
このようにモノが主語になることもあります。
- Je m’appelle Pierre. わたしはピエールと呼ばれます。
このような主語が人の文でも、受け身のように訳すことができます。
熟語として使う
最後は、熟語として覚えておくべきパターンです。
- Je me souviens de mon enfance. わたしは子供時代を覚えている。
この場合、souvenir という動詞はこれ単体で使われることはなく、
- se moquer 〜:からかう
- se rendre 〜:行く
まとめ
ここまでが、代名動詞の解説です。お疲れさまでした!
一応簡単にまとめておこうと思います。
代名動詞(se coucher)=再帰代名詞(se)+動詞(coucher)
- 主語と目的語が指しているものが一致している。
- 再帰代名詞も動詞も、主語に合わせて変化する。
4つのパターンを知っておくと訳すときに便利。
- 自分に〜する」
- 「互いに〜する」
- 「〜される」
- 熟語として使う
最後まで読んでいただきありがとうございました。