今回の記事では、「フランス語の男性名詞と女性名詞について」というテーマで紹介していきたいと思います。
- フランス語は名詞に性別があってややこしい
- 新しい単語はどうやって性別が決まるの?
- covidは男性名詞?女性名詞?
②:新しい単語はどのように決まる?
③:covidの場合
この記事の構成はこんな感じです。これを読めば、今までよりも少し、フランス語の理解の幅が広がっているはずです。
それでは、さっそく見ていきましょう!
男性名詞、女性名詞
それではまず、男性名詞と女性名詞についてざっと確認しておきましょう!
これは簡潔にまとめると、文法上のカテゴリーのことですね。
ところがこれは、決して「男性っぽさ」「女性っぽさ」とは全く関係がありません。
このへんの文法知識についてはここでは詳しく触れませんが、不安な人は以下の記事で確認しておいてください!
それでは、ひとまずフランス語の「名詞の性別」に関する文法知識はある、という前提で進めていきます!
新しい単語の場合
文法の基礎を確認したところで、では「新しい単語」はどのようにして性別が決まるのか、という疑問が生まれてきます。
というのも、時代の変化とともに新しい単語が生まれるわけですから、そのたびにそれが男性名詞か女性名詞かを決める必要もありますよね。
今回は新しい単語として、covid を例に挙げて見ていきたいと思います。
covidの前は、、、
covidという単語は、いわゆる「新型コロナウイルス感染症」のことです。この病気がある程度広まった後に、WHOがこの名称を用いるように作った単語です。
ですから、そもそもWHOがこの名称をつける前に、われわれは別の単語を使っていましたよね。
そう、それが coronavirus です。
これは、男性名詞として使われています。
そしてこの単語がある程度広まったのちに、covid という新しい単語が生まれたわけですね。
le covid ?
これによって基本的に、(厳密にはcoronavirus とcovid は違うものだと思いますが、)今まで日常で使っていたcoronavirus に相当する単語として covid を用いるようになりました。
ですので、多くのメディアや報道機関では le covid という表現が見られました。
、、、ところがこの話が、ここで終わるわけにはいきません。
ここに口を挟んできたのが、いわゆる「フランス語の権威」とも言えるアカデミーフランセーズです。
le covid ではなく、la covid の方が正しいフランス語ではないのか?
ときたわけですね。その理由を説明しましょう。
la covid ?
その理由は、covid という単語の成り立ちから見てみましょう。
そして、disease(病気) に当たるフランス語は la maladie ですね。これは女性名詞です。だから、la covid の方が適切なのではないのか?という主張です。
少々回りくどい感じもしますが、実は「頭文字を使った単語の性別」には、このようなルールが前例として存在しているからです。
たとえば、le TGV(日本でいう新幹線みたいなもの)。
これは、train à grande vitesse の略ですが、le train が男性名詞だから le TGV になるわけです。
このあと少しいろんな報道の仕方があり、一部の権威のあるメディアでは「la covid」を使っている記事も多く見られました。
最終的には
とはいうものの、初期段階で多くのメディアが「le covid」と報道した影響もあるのでしょうか。
現在では多くの目にする記事が、le covid になりました。
これについては、もう少しあとからどうなるか判断を待ちたいと思います。
言語というものは、ルールが存在する「人間が作り出した発明品」である一方、日常使いする「生きた道具」ですから、そう簡単にはいかないのもうなずけます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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