今回の記事では、フランス語の試験DELF / DALFを受験してきたので「DALF C1の具体的な試験内容」について体験談をもとにレポートしていきたいと思います。
- 試験はどんなテーマが出るの?
- 実際に口頭試験で何を聞かれたか知りたい!
- 過去に受けた人の意見を参考にしたいな〜
②:各セクションごとのレポート
③:最終結果とその感想
この記事の構成はこんな感じです。
これを読めば、もうDALF C1の試験の全体図は理解できているはずです。
それでは、さっそく見ていきましょう!
試験の概要
それではまず、「C1のレベル」「出題内容」に分けて、試験の概要を説明しておきます。
C1のレベル
レベルはDELF / DALFの公式ページから引用します。
- 長くて難解な、様々な種類の文章を理解し、明示されていない部分についてもその意味を理解することができる。
- ためらうことなく、流暢で自然に自己表現することができる。
- 社会的、専門的、学術的な場面において、効果的かつ柔軟に言葉を使うことができる。
- 複雑なテーマについて、明瞭で構成の整った方法で自己表現できる。
……やはり、文面だけを見てもイカついです。笑
個人的な解釈としては、
DELF B1までは「ちゃんとフランス語でコミュニケーションができるかどうか」の試験。
B2からは「フランス語を用いて相手を納得させる主張ができるかどうか」の試験。
C1, C2は、フランス語を話せるのは当たり前として、「より高いレベルで幅広いテーマについてちゃんと議論できるかどうか」の試験。
というふうに理解しております!
出題内容
続きまして、出題内容です。
これも先ほどと同様、説明しだしたらキリがないので、簡単にまとめます。
筆記試験(約4時間)
- 聴解:いくつかの録音を聞いて、理解し質問に答える。
- 読解:長文一題を読んで質問に答える。
- 文書作成:200~240語で総論を作成する。与えられたテーマに基づき、250語以上の文章を作成する。
これに加えて、
口頭表現試験(面接30分、準備60分)
- 口頭表現:与えられた資料を用いて、指定されたテーマに関するプレゼンテーションを準備し、面接官に自分の見解を述べる。面接官から質問を受け、見解について話し合う。
という感じです!
日本での受験の場合、筆記試験と口頭表現試験は別日に行われるようです。
とはいえ、フランス語力も大切ですが、もはや同時並行で体力作りも必要なぐらいのスケジュールです、、、
と、前置きはこれぐらいにして、次からはいよいよ実際に受けた体験談を話します!
体験談まとめ
到着までの流れ
それでは、試験当日の流れから話します。わたしは日本最後の秘境に住んでおりますため、近くにDELFの試験会場はないです。
そのため、夜行便を使って当日の朝に大阪に到着しました!
まず、夜行便、全く寝れてないです!笑
だからと言って、試験の復習とかも全然できてないです。笑
朝に着いたものの、試験は14時から。(無駄に時間が余っている、、、)ということで、大阪の公園のベンチで爆睡をかましました。
これにより、移動の疲労感がマックスだったのですが回復し、昼ごはんを食べてさらに回復。
しばらく散歩して、血糖値の上昇を抑えつつ、
突然、北野天満宮が現れたのでお参りをして、
こういう「動物を使ったパフォーマンス」などもDELFではよくsujetにありそうだな〜
なんて思いつつ、見学しました。笑
その後、計画的にカフェインを大量摂取し、目がギンギンの覚醒モードで試験会場へ!
(本番でカフェインの効果を最大化するために、試験前の一週間はあえてコーヒを飲まずに過ごしました。これが効果的かはわからないです。)
はい、到着です!
受付のスタッフがフランス留学時代に出会った友人で、筆記の試験監督も担当していたので、思った以上にリラックスして臨むことができました。
試験本番中、机に置いたものは以下の通りです。
- 3色ボールペン
- 修正テープ
- 蛍光ペン4本
- シャーペン1本
- 消しゴム
- ボールペン
そして、
- 時計×2
これに加えて、
- 水のペットボトル
- スポーツドリンク
結果として、シャーペンと消しゴムは使わなかったです。
文書作成のサンテーズで、蛍光ペンや色付きのボールペンを使用しましたが、その他では、黒のボールペンしか用いませんでした。
時計は、まさかのデジタルとアナログ両方の腕時計を持っていきました。(試験会場にもあったので結果として3つ)
4時間ともなるとお腹が空く可能性もあるため、水とスポーツドリンク両方を用意し、フィルムは剥がして机の上に置いていました。
聴解(CO)
ここまで、長すぎる前置きにお付き合いくださいましてありがとうございます。
やっと、具体的な試験の内容に入っていきます。
まず、最初の聴解パートでは、3つの音源を聴きました。
- 環境の話:人間と環境(動植物を含めた自然)との関わり方について。環境に対し多くの犠牲を出しているから、我々は「人間中心的な考えを止めるべき」的な話だったんじゃないかなと記憶しています。でも、よくわっかりませんでした。討論番組で、専門家を含めた3人での会話でした。
- 全く記憶にないです。終わってすぐメモすればよかった。。。
- AIの話:AIの登場によって創作活動がどのように変化したのかについて、実際にアーティストの人にインタビューする形で会話していました。盗作が行われるリスクや、人間にしかできないクリエイティビティについて話していたと思います。
結果、やはりリスニングは苦手です。
たぶん重要なところは聞き取れているし、全体の流れも一応わかる。でも、質問に答えるのが難しい。
そしてメモを取ることも苦手。聴き終わったら最初の方の会話はほとんど忘れている。笑
とりあえず選択式の問題だけは正解したい!と思いながら、おそらく5点はあるだろうと言い聞かせて終わりました。
過去問では手応えもある回もあったのですが、やはりムラがありますね。。。
読解(CE)
とりあえず「5点さえあれば可能性は消えない!」と思いながら、次の読解パートへ。
ちなみに、リスニング→リーディングの間に休憩時間はないです。
リスニングが終わったら、各自トイレに行きたい場合は手を挙げて、試験監督に伝えて自由に出ていくことができます。
テーマは、「SNSに投稿した写真が記憶に与える影響」みたいな感じでした。
こちらからすると、SNSのあり方というテーマ自体はいいのですが、、、
- SNSは若者の自尊心に悪影響を与えている!
- SNSでコミュニケーションの可能性が広がった!
というような、こんな単純な構造の文章であってほしいわけです。笑
ところが、どっちつかずのトーンで「写真をSNSに投稿した時点で、わたしたちは未来におけるノスタルジーの感情をすでに形成している」というような、勘弁してくれよ、と思わず言ってしまうようなニュアンスの文章でした。他にも、紙の写真とデジタルの写真でどのような記憶の違いがあるのかなどの説明もしていました。
結果、文章の意味もよくわからないし、練習不足で答え方も慣れていないし、そもそも一番苦手なパートだし、、、ということで、
ここでもお決まりの「選択式で5点は確保ぉぉぉぉぉぉおおぉぉおぉ!」と心の中で叫んで終えました。
文書作成(PE)
はい。雲行きが怪しいまま、ライティングパートへ!
こちらは少し自信があったので、気合を入れ直して挑みます。
試験の順番的に、
- compréhension orale
- compréhension écrite
- production écrite
- production orale
とあると、
orale > écrite
というタイプですから、いよいよここからが本番です。(すでに後半戦)
さっそくですがテーマは、「大量消費社会」でした。
まずは、異なる視点で書かれた2つの文章を読みます。そして、サンテーズ(統合)します。
ここで、カラーペンや蛍光ペンを使いまくります。
大量消費社会の「問題点」を書いているところを黄色で、、、
ここからは「解決策」だから青色で、、、、
こんな感じでまとめていき、
- 問題提起:多くのフランス人が大量消費社会を辞めたいと思っているのに、なかなか変えられない
- 問題点:システムがサステナブルじゃない
- 原因:広告が多く個人の行動では対応できない
- 解決策:社会全体でメンタリティを変えていく必要がある
という無難な文章にまとめあげました!
続いて、同じテーマで自分の意見を展開していく第二パート。
課題は、
「大量消費社会を食い止めるために、具体的な政策を出してもらうようにパリ市長に手紙を書く」
というものでした。
結構細かい指示が出されており、単に政策を提案するのではなく、
- 人々の行動様式を変えることは難しいと譲歩した上で、
- この問題に対応することの緊急性を強調する
このような設定が決められています。
わたしは、
大量消費社会を最も加速させている経済活動は、ファストファッションだ
と大胆に決めつけ、
- 服に環境への影響を書いたタグをつけること
or
- トレーサビリティを閲覧できるようにQRコードのタグをつけること
このどちらかをファッション業界に義務付けることを提案しました。
いきなり人々が購入する服の量を減らすことは難しいかもしれないが、そうやって少しずつ「環境への負荷」を意識する機会を増やすことが重要だ、としたわけです。
結果、言いたいことは伝わるかもしれないが、もう少し説得力のある構成で書くことができたな、と反省しております。
1日目終了!
ということで、1日目終了です!
この時点で18時すぎ。次の日は朝の10時半から口頭表現が残っています。
おそらく「普通」ならここで、(普通の概念は人によって異なるので、あえてカッコ付きで書きました)
- そのまま夕食を済ませて
- 早めにホテルに帰り
- お風呂でリラックスし
- 明日のために復習なんかもやりつつ
- 試験に備えて早めに寝る
というプランだと思います。
ところがどっこい、わたしはこのまま18時30分から飲み会へ!
しかも台湾人も一緒だったということで、時々まさかの中国語も交えながら話しつつ、翌日フランス語のスピーキングがあることを忘れ、はしゃぎました。
無事に2時間ワイワイした後に、、、
髪を切りに行きました。(!)
(中国旅行で床屋に入ってみて楽しかった経験があり、そこから旅先で髪を切るというイベントにハマっています)
もういろいろカオスになりつつありますが、結局ホテルに戻ったのは日付が変わってからでした。
そこから急いで寝る準備をし、寝ようとしたけれど、、、
結局あんまり寝れずに2日目へ!
口頭表現(PO)
準備
目覚めはあまり良くありませんでしたが、とりあえず身支度を整えて、二日目もカフェインを計画的に大量投入して、試験会場へ!
なぜかスピーキングに関しては「圧倒的な自信」がありましたので、緊張はほぼしませんでした。対策をしていて一番楽しいセクションだったので、「楽しい=向いている」のだと勘違いして、特化させることにしました。
たぶん試験会場で誰よりもリラックスしていたと思います。
試験時間になってスタッフに呼ばれると、机に6つのクリアファイル(ファイルの中にテキストが印刷された紙が入っている)が用意されていました。テキストの内容は見えません。
そこから、ランダムに2枚を選びます。
わたしが引いたテーマは、
- AIと教育
- 環境問題と生物多様性
という「the 頻出テーマ!!」という感じのsujetでした。
自分は迷わず「AI×教育」のテーマをもぎ取って、1時間の準備のために別の部屋へ移動です。
小さめの準備部屋では、3人ぐらいの受験者がすでに中で準備を始めていました。
ざっくり口頭表現の流れを言うと、
- 準備:1時間
- エクスポゼ(一人でプレゼン):8〜10分
- 面接官とのディスカッション:15分
という感じです。
準備中は部屋の一番前に、
- 時計
- メモ用紙
- 仏仏辞書
が用意されており、必要に応じでメモと辞書は各自で取って良い感じでした!
さて。
最初の15分ぐらいでテキストを読みつつ、発表に使えそうな重要なところにアンダーラインを引きます。
二種類のテキストがありましたが、そこまで難しい文章ではないです。
一応、web上でLe Mondeを年間定期購入し、とにかく毎日読めるだけの記事を読むという生活を半年ぐらいは続けていましたので、読解は苦手ですが最低限の読む能力はあります。笑
そこから30分ほど使って、エキスポゼの構成を練ります。
さまざまな意見を列挙して、どの順番で話せば説得力があるのかを考えます。時間配分を見ながら、個人的な具体例を修正したり、自分の主張を繰り返したり、とにかくここでは「プラン」の作成に全力を出します!
そして、最後の15分で「一人ミュート版エクスポゼ」を実施。
メモがぐちゃぐちゃにならないように、右上に正確に番号を記入して、書き込めるだけ情報を記入して、名前が呼ばれるのを待ちます。
エクスポゼ
いよいよ口頭表現の試験がある部屋に入っていきます!
簡単に挨拶をし、席に着くように指示されます。
結構若めのフランス人女性が二人でした。一人が話して、一人が会話内容をひたすらメモ、という役割に見えました。
それでは、以下が覚えている限りの発表内容の要約です。
テーマ発表
今回は教育現場におけるAIの使用について話します。
私は、学校教育における新しい技術の導入について批判的に書かれた2つのテキストを読みました。
(〜〜年に、==新聞で発表された・・さんによって書かれた、、、などの情報を入れる)
記事要約
この文章では、筆者は「AIの使用は、学生にとって諸刃の剣である」と述べています。つまり、AIは学習効率を高める一方、カンニングなどの不正を助長する可能性が高まります。よって、導入に関しては慎重に議論するべきだ、と主張しています。
時事問題と絡める
さらに最近は、chatGPTなどの生成AIの登場によって、ますます国民の関心が高まっているテーマでもあります。
議題の提示
これらの背景を踏まえて、私はこのエクスポゼでは以下のテーマについて話します。
:「学校教育におけるAIの使用は、社会にポジティブな影響を与えるのか」
プランの提示
以下の順序で進めていきます。
- AIの使用が生徒にとってどのような利点があるのか
- AIの使用によって想定されるデメリット
- デメリットを回避するための具体的な解決策
パート1
とにかく、AIの使用は「教員のタスクを減らす効果」が大きいと思います。
具体的にできることといえば、
- 授業の構成を考える
- 試験の添削の一部を自動化できる
- 学習内容をそれぞれの生徒に合わせて個別化することができる
- 個人の苦手分野をサポートできる
- 進路相談に乗ることができる
これらの一部でもAIに任せることができたら、教員の負担をかなり軽減できます。
教員は多くの事務作業に追われるよりも、これらの導入によってより生徒との関わりを大切にできるのではないでしょうか。
パート2
デメリットは以下の2つの観点から話します。
:コミュニケーションの観点、スキル獲得の観点
(ほとんど忘れてしまったのですが、)
- AIとの関わりが深くなりすぎると、今までよりも人とのコミュニケーションが疎かになる可能性がある
- AIによっていろいろな分野を学習できるが、AIでは学習できない分野もある
例えば、歴史の問題を解くのはAIでも良いが、哲学の学習はAIでは難しい。
(すみません、ここのパートもそれなりに話したと思うのですが、あまり思い出せず。。。)
パート3
ここまでで、AIの使用は具体的にメリットがある反面、それによって想定されるデメリットもあることを話しました。
このパートでは、これらのデメリットを防ぐための解決策を提示します。
- コミュニケーションに関して
→ むしろ、「人間的なコミュニケーションの時間を最大化するため」に新しい技術を利用するべきである。
- スキル獲得に関して
→ 全てをAIに任せようとしたり、AIと人の授業を対立させたりすることはおかしい。あくまで「教員の補助」としてAIを使用するべきである。
(という前提に立って、いくつか解決策を提示したものの、何を言ったのか忘れてしまいました。スミマセン、、、)
まとめ
最後に、このエクスポゼを要約し「学校教育におけるAIの使用は、社会にポジティブな影響を与えるのか」という最初に提示した議題に答えます。
私は、学校教育において新しい技術の導入することは、社会にとって良いことだと思います。
なぜなら、第1パートで話したように〜〜〜というメリットがあるからです。
一方、第2パートで説明した〜〜〜というデメリットも想定されますが、
第3パートで〜〜〜という解決策も提示しました。
よって、私は教育にAIを導入することに賛成です。
以上です。聞いていただきありがとうございました。
ディスカッション
最後はディスカッションです。
ここで感じたことは、DELFと違ってDALFになると、面接官も全く容赦ないな〜ということです。笑
DELFの時はいくらB2とはいえ、あくまで「フランス語教師×フランス語学習者」という会話だったのですが、もうDALFになるとただの「理詰め上司」感しかなかったです。
話すスピードも使い回しも、完全にネイティブのそれでした。笑
質問内容としては、
- 未来の教育は、今と違う点があるとするとどんな感じになっていると思うか
- クリエイティビティはAIによって発揮されると思うか
- Intelligenceの定義は変わるのか
など、結構おもしろい質問が続きました。
また、話が「労働」の方にも少しそれて
- AIの導入によって賃金の格差は生じるのか
- 未来の働き方はどのように変わるのか
といった質問も出ました。
普段から関心を持っているテーマだったので、受け答えとしてはほぼ完璧に近い答えができたと思います。
例えば、賃金の格差が生じると思うか、と聞かれたら「はい」だけではダメで、とにかく理由をつけましょう。
ここで見られていることは、フランス語力というよりも、むしろこの理由の「説得力の高さ」です。
わたしは、
はい。労働においてAIなどの新しい技術が導入されると、ロボットやアルゴリズムによって置き換えられるので、中間層に位置する仕事がなくなると思うからです。
そうなると、ほとんど能力が求められない単純作業の下層の仕事と、高い資格が求められる上層の仕事だけが残ります。よって、労働における社会的な格差は広がると思います。
と、こんな感じで答えました。
Amazonなどでは、倉庫で働く仕事が機械に置き換わっているが、そこで働いていた人は教育を受けて機械のメンテナンスにまわっているのではなく、仕事をやめてウーバーの配達員をしているかもしれない。そうなると、技術の導入によって新しいチャンスが巡っているというより、社会的な構造はむしろ全く変化していないのではないか、とも付け加えました。
あとしいて言うなら、ユーモアも大切かもしれません。
AIの不透明性を訴える時、chatGPTは
「残念ながらOpenAIという会社の名前に反して」
とつけて、
「ソフトのプログラムが公に対して開かれていない。これではクローズドAIだ!」
というと、面接官の若干の微笑を獲得できました(こちらの勘違いかもしれない)。
とまぁ、こんな感じでディスカッションは終えました!
結果とまとめ
そして、いよいよ結果発表ということで、、、
無事に合格しておりました!
一番予想外だったのは、文書作成の低さです。
最低でも20点はあると思っていたので、まだまだ練習が足りないなと思いました。。。
そして、スピーキングはかなり自信になりました。
まだまだC2に向けてやるべきことはたくさんあるので、これからも引き続きフランス語学習を継続させていこうと思います!
20代のうちにDALFに合格したかったですが、叶わなかったけれどいい30代の突入です。笑
最後まで読んでいただきありがとうございました!
また具体的なB2、C1の対策法をまとめます。
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